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シンガポールでの企業向け暗号資産課税に関する解説


(解説者:Jeff Liaw氏、JCP Trust Accounting Pte. Ltd. ディレクター)


シンガポールの暗号資産課税の概要

シンガポールでは、暗号資産に関する課税が非常に明確に整理されており、企業にとっては特に有利な環境が整っています。ここでは、その主なポイントを解説します。Jeff Liaw氏は、エックスウィングループの会計、税務をお願いしている会計士です。

1. 法人所得税(Corporate Income Tax)

暗号資産の取引やマイニングから得た利益は「事業所得」として扱われ、一律17%の法人税が課されます。

特に暗号資産の取引が頻繁に行われている場合、それは投資目的ではなく事業活動としてみなされ、課税対象となることに注意が必要です。


2. キャピタルゲイン課税なし(No Capital Gains Tax)

投資目的で保有している暗号資産を売却した場合、その売却益は課税されません。ただし、頻繁な取引が行われている場合は事業所得とみなされ、課税対象となる可能性があります。


3. 未実現利益は非課税(Unrealized Gains Are Not Taxed)

暗号資産の評価額が保有期間中に上昇しても、その利益(未実現利益)は課税されません。ただし、評価益が事業活動に関わる収益性のある取引の一部である場合は課税の可能性があります。事業所得の場合、損益計算に組み込まれるため詳細な取引内容に基づく判断が重要です。


4. GST(消費税)は非課税(No GST on Cryptocurrency Transactions)

暗号資産の購入、売却、利用などの取引はGST(消費税)対象外です。シンガポール政府は、暗号資産を「金融サービスの提供」として扱い、GSTを免除しています。


5. ICO(Initial Coin Offerings)の課税

ICOで発行されるトークンの種類によって課税の取り扱いが異なります:

  • ペイメントトークン(Payment Tokens): トークンを使用する具体的な取引内容によって課税の可能性がありますが、基本的には金融サービスとして扱われGSTは免除されます。

  • ユーティリティトークン(Utility Tokens): トークンの使用目的がサービスへのアクセスである場合、収益の認識が後回しになることがあります。ただし、元の取引内容に応じてGSTが適用される場合もあります。

  • セキュリティトークン(Security Tokens): 資本取引として扱われ、通常は課税対象外です。


6. 海外所得(Overseas Income)

シンガポール外から得た所得は、特定の条件を満たす場合に非課税となる可能性があります。たとえば、海外で発生した収益がシンガポール国内で課税される条件は非常に限られています。


7. 税制優遇(Tax Incentives)

シンガポールでは、スタートアップやイノベーションを推進する企業に向けて多様な税制優遇措置があります。これには、特定の税率減免や税控除が含まれます。暗号資産関連の企業もこれらの恩恵を受けることができます。


まとめ

シンガポールは、暗号資産を扱う企業にとって非常に魅力的な税制環境を提供しています。特に未実現利益が課税されない点やGST免除の取り扱いは、企業活動にとって大きなメリットです。しかし、暗号資産の性質や取引の頻度によって課税の判断が異なるため、専門家のアドバイスを受けることを強く推奨します。


JCP Trust AccountingのJeff Liaw氏は、「具体的な取引内容や事業活動に基づく適切な税務戦略の構築が鍵」と述べています。ぜひ、専門家の知見を活用し、最適な税務管理を行ってください。


参考:JCP Trust Accounting Pte. Ltd.シンガポールの暗号資産税務に関する詳細は、 info@x-win.io までお問合せください。

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