ETHが4000ドルを突破した理由とは?
- Oshima
- 8月9日
- 読了時間: 3分
2025年8月、イーサリアム(ETH)は約8か月ぶりに4000ドルの大台を突破しました。本記事では、その背景にある「技術的要因」「規制」「市場ニュース」「オンチェーンデータ」という4つの観点から、ETH価格上昇の要因を深掘りしていきます。

1. 技術的要因:ネットワークの進化とL2普及
▸ Pectraアップグレードの影響
2025年5月に実施された大型アップグレード「Pectra」では、アカウント抽象化(EIP-7702)や、ブロブ取引(EIP-7691)の導入により、ネットワークのスケーラビリティとユーザー体験が大幅に改善されました。特に、バリデータ1体あたりのステーキング上限を2048 ETHに引き上げたことは、大口ステーカーにとって大きな利点となり、ETHの保有意欲を後押ししています。
▸ L2技術と手数料改善
2024年のDencunアップグレードによって導入されたプロトダンクシャーディングにより、Layer2上の手数料が大幅に引き下げられました。DeFiやゲーム領域での活用が進み、Ethereum全体のトランザクション数は過去最高水準に。
▸ ERC規格の進化
ERC-6551(NFTのアカウント化)やEIP-4337/7702などの新技術により、スマートコントラクトウォレットの使いやすさが向上。これにより多様なユースケースが広がっています。
2. 規制の進展:安心感が機関投資家を呼び込む

▸ GENIUS法の成立
2025年7月、米国でステーブルコイン規制法「GENIUS法」が成立。これにより、ステーブルコインに関わる法律的不確実性が払拭され、Ethereumのようなインフラ系プロジェクトへの信頼が強まりました。
▸ SECによるステーキングの明確化
8月初旬、SECは流動性ステーキングが原則として証券に該当しないという見解を示し、Lidoなどのステーキングサービスが合法的に運営できる環境が整いました。これは、機関のステーキング参加を促進する後押しとなりました。
▸ ETFへの期待と資金流入
BlackRockやFidelityなど大手のETH現物ETF申請に加え、既存のETH関連ファンドへの資金流入が顕著に。6~7月の2か月間だけでETFに90億ドル超の流入があったとされ、価格上昇を大きく支えました。
3. 市場ニュース:企業買いと資金ローテーション

▸ 上場企業によるETH保有の増加
SharpLink Gaming社やFundamental Globalなど、上場企業がETHを財務資産として保有する動きが活発化。SharpLinkは2億ドルの増資を発表し、ETHを52万ETH以上保有する見通しに。
▸ ビットコインからの資金ローテーション
ETHは7月〜8月にかけて月次で+50%を記録。これはBTCの+6%を大きく上回る成績で、典型的な"アルトシーズン"の様相を呈していました。
▸ ショートスクイーズによる加速
4000ドル突破のタイミングでは、1時間で2400万ドル、1日で1億1900万ドル分のショートポジションが清算され、急騰を後押ししました。
4. オンチェーンデータ:供給逼迫とネットワーク活性化

▸ 取引所からのETH流出
集中型取引所にあるETH残高は2022年の2800万ETHから、2025年8月には1880万ETHにまで減少。自己管理やステーキングによって、供給が市場から隔離されています。
▸ ステーキングの増加
2025年8月時点で、約3600万ETH(供給の30%)がステーキングされており、売却可能な流通量が大幅に減少。
▸ ネットワーク利用の増加
1日のトランザクション数は約174万件と過去最高。アクティブアドレスも増加し、オンチェーンの活動量が強気の裏付けに。
まとめ:複合的好材料の融合による急騰
ETHが4000ドルを突破した背景には、技術的進歩、規制整備、企業買い、市場センチメント、そしてオンチェーンの供給逼迫という複数の要因が同時期に揃ったことが大きいです。
今後も、規制の安定性とEthereumエコシステムの発展が続けば、さらなる価格上昇の余地も見込まれます。短期的な調整に注意しつつも、ETHは中長期で依然として有望な資産クラスと言えるでしょう。